こんにちは柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
「赤ら顔」は、医学的には「酒さ(しゅさ)」と呼ばれます。症状が長く続き、治りづらいため、心理面での負担や、外見のことですので、お悩みの方も多いと思います。特に日差しが強くなる季節は、お困りの方もいらっしゃるでしょうか。今回は、酒さに対し、保険追加された外用薬がありましたので、酒さと治療について、お話ししたいと思います。
お酒を飲んだ後のように、頬や眉間、鼻の頭などの赤みが慢性的に続き、ほてり感やひりひり感、痒みなどを伴う状態のことです。赤みの正体は、血管拡張ですが、ニキビのような赤いポツポツ(丘疹)や膿疱が混ざっていることもあります。鼻が赤く大きくなる場合もあります。
原因は、残念ながら、分かっていません。毛穴にすむ毛包虫やニキビ菌による感染などが考えられていますが、明らかではありません。血管が拡張した状態ですので、病名についているお酒や、日光、急激な温度変化、香辛料など、血行が良くなるものは、症状を悪化させる要因となります。
テトラサイクリン系やマクロライド系の抗菌薬の内服
服用すると、比較的、症状が改善します。が、いつまで飲み続けるか?の判断は、悩ましいところです。漢方を併用する場合もあります。抗菌薬を塗ったり、フォトフェイシャルなどを組み合わせて治療する場合もあります。
ロゼックスゲル
今回保険追加となった「ロゼックスゲル」は、抗菌外用薬です。いままでは、がんが原因の皮膚潰瘍の殺菌や臭いを軽減する目的で処方できるお薬でしたが、このたび「酒さ」にも処方できるようになりました。
ロゼックスゲルの主成分はメトロニダゾールという抗菌薬です。このメトロニダゾールは、寄生虫や細菌を殺すためのお薬ですが、外用薬として塗ると、皮膚の炎症や血管拡張を抑える効果が期待できます。海外では、すでに赤ら顔の外用治療薬として広く使われています。
赤ら顔は、比較的、中高年の女性からのご相談が多くあります。私の治療方針として、金額的にも気軽に自費診療をオススメすることができず、かといって、既に他にお薬を飲まれてるのに内服を追加するのも抵抗がありました。今回、新しく保険で処方できる外用薬が登場したことで、私も期待を寄せています!
「赤ら顔」の病気を勉強したとき、私は「源氏物語の末摘花の君は、酒さなのか⁈」と疑問に思い、ご意見番の先生にうかがったところ「ニキビではないでしょうか」と返され、他にも「毛皮も着ていますし、季節的に寒いのなら、しもやけだったのではないでしょうか」との意見もありました。私の突拍子もない質問にまじめに答えてくださり、感謝でしたが、もし今の世に末摘花の君が来院されたら、本当は血管拡張なのか、コメド(毛穴に角栓や角質が詰まっている状態)を伴うニキビなのか、寒いところに居たからなのか、しっかり問診と視診をしてみたい!と密かに思っています。
こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。肌寒い日がつづいたと思ったら暑い日がやってきて、体調管理に気をつけたい季節ですね。さて、本格的に汗が気になる季節の前に、多汗症のお話をしたいと思います。
日常生活に支障を来たすほど、汗をかいている状態です。多汗症には、全身に多量の汗をかいてしまう場合と(全身性)、手のひら、足のうら、脇など体の一部にだけ(局所)、左右対称に多量の汗をかく場合があります。「全身性多汗症」には、原因がわからない「原発性」と、体の他の病気を合併する「続発性」があります。「局所多汗症」にも、原因や誘因のない「原発性」と、外傷や腫瘍など神経障害による「続発性」があります。たとえば、「原発性腋窩多汗症」は、両脇だけに多量に汗をかくのに、他に体の異常もない場合をいいます。
エクリン腺からの発汗が増えることが原因です。発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのからではないか、とも言われていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。多汗症の方には、家族も同じ症状の方がいらっしゃる場合もありますが、今のところ、原因遺伝子は明らかにはなっていません。
①塗り薬の治療
「原発性腋窩多汗症」に対してのみ、下に挙げるような保険適応のある外用剤が出てきています。
エクロックゲル
2020年11月26日に発売されたお薬です。日本初の、保険適応のある原発性腋窩多汗症の外用薬です。
ラピフォートワイプ
2022年5月23日に発売されました。いまのところは、2週間分のみ、処方できるお薬となっています。これは、アセチルコリンという発汗を促す神経伝達物質を抑制する(抗コリン作用)外用薬です。1日1回、両脇に塗ることで、効果が期待できます。注意事項としては、緑内障や前立腺肥大の方には使用できません。また副作用(抗コリン作用)により眼圧が上昇したり、尿閉(尿意があるにもかかわらず排尿できない状態)になることがあります。処方には、医師による「重症な原発性腋窩多汗症である」という診断が必要です。
★自費の塗り薬★
1)塩化アルミニウム
2)硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)
どちらも自費診療ですので、部位や重症度を問わず治療を始めることができます。ローションあるいはクリーム剤を対象部位に塗り、エクリン汗腺の周辺に炎症を起こすなどして発汗を抑える、というものです。腋の臭いに対しても効果があると言われています。副作用としては、肌の赤み、かゆみといった症状がでることもあります。
②局所注射の治療
A型ボツリヌス毒素(BT-A)の局所注射
「重症な原発性腋窩多汗症」と診断された場合にのみ、保険適応で治療をすることができます。交感神経の末端で、発汗を促すアセチルコリンの分泌をブロックするため、発汗を抑えることが期待できます。効果がでるまでには4〜9か月と、個人差があるものの、ワンシーズン効果を持続させたい方には向いているかもしれません。
③飲み薬の治療
プロバンサイン
飲み薬としては唯一、保険適応のある薬です。抗コリン作用の内服薬なので、①の中でお話しした通り、使用できない方がいらっしゃる点と、副作用には外用薬以上に注意が必要です。
④その他の治療
イオントフォレーシス
手のひらや足の裏の症状には有効と言われています。
内視鏡的胸部神経遮断術(ETS)
手のひらの多汗症に対して、他の治療法で効果がない場合適応となりますが、手のひら以外からの多汗(代償性発汗)をはじめとした合併症の対策が必要です。いかがでしたか?汗が気になって、勉強や仕事に集中できずお悩みの場合は、お近くの皮膚科にご相談ください。
こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?久しぶりの行動制限のない連休でしたね。
私はといえば、慌ただしい毎日から解放された連休は、子どもたちとのおうち時間を過ごしておりました。ところが気付けば、家じゅうが子ども部屋状態…気分転換に外に出かけると、家具メーカーのSALEの文字が目に入ってきました。
家具といえば大きな買い物になりますが、連休中のSALEとあって次々と立ち寄っていく方々を見ると勇気づけられます。自宅に戻ってからも、学生時代から使っている小さなソファをそろそろ家族用に買い替えてもいいだろうか、どうしようか、2~3日考えこんでいました。そしてSALE最終日、ようやく決心して、ショールームに足を踏み入れました。
ショールームには、温かみのある丸い照明に照らされた広い空間に、そっと椅子が配置されています。趣きのある建物で、エレベーターが手動の蛇腹扉であることに驚いていると、100年ほど前のものですと説明をうけて、まだきちんと動くことにも驚いてしまいました。映画のワンシーンのような素敵なエレベーターでしたよ。
ところが、ちょうどよいソファには出会えず、困っていると、担当の方に、「毎日お忙しいとは思いますが、家の中で、本当に自分の時間は、何時間くらいありますか?」と聞かれました。今まで考えたこともありませんでしたが、「小一時間くらいでしょうか?」と答えると、それなら、ご自分のためにいいなと思う1つを選んではいかがですか、と提案がありました。
家族のためにとソファを探していた私には目から鱗の発想でして、一旦帰宅して家族とも相談してから再びショールームに戻ると、今度は、デザインや座り心地、色を選びながら存分に楽しむことができました。80センチ四方の、私の居場所です。
その椅子は、まだ我が家にやってきてはいませんが、届くのがほんとうに待ち遠しくてなりません。これからの毎日、少しだけ自分が素敵になれそうです!
新年度が始まり、みなさまいかがお過ごしでしょうか。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
ますます日中はあたたかくなり、さらには、暑くなる日も多くなりましたね。
今回は紫外線対策のお話です。皮膚科医としては、一年を通じて紫外線対策をしてほしいと申し上げたいところですが、いよいよ紫外線量がふえるこの季節、ぜひ早めの対策を始めましょう。
まず、今年の紫外線対策には今年購入した日焼け止めをご使用することをオススメします。また、2-3時間お気にこまめに塗り直すことも大切です。
とくにお肌が敏感な方には、
こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
花粉症の季節になってまいりました。当院でも花粉症の治療を行っています。
さて今年は、花粉症のセルフケアのお話をしたいと思います。花粉症の症状を緩和させたり、症状の発現を遅らせたりするためには、いかに花粉を避けるかが、予防のポイントになります。
①メガネとマスクを着用しましょう
コンタクトレンズの刺激でアレルギー性結膜炎が悪化する場合があります。普段コンタクトレンズの方も、花粉が飛ぶ時期は、メガネの方がよいでしょう。
マスクは、現在コロナ禍なので、ほぼ浸透していますね。更に、マスクの内側にガーゼを当てる(インナーマスク)で、予防効果が高くなることが分かっています。ガーゼの厚さは、息苦しくならないように調整してください。
②服装に注意しましょう
ウール製の衣類は、化繊や木綿と比べると花粉が付きやすく、屋内に花粉を持ち込みやすいと言われています。花粉の季節は、外側がウール素材の衣類は避けましょう。
また、人間の体で花粉が付きやすいのは、頭、顔、首、手などの露出部です。つばの広い帽子を被る、手袋を着用する、などで、花粉が付く量を減らすことができます。
③花粉の多い日や時間帯を避けましょう
花粉の予測情報を有効に使いましょう。花粉が多く飛び散る時間帯は、とくに、お昼前後と夕方です。
花粉の多い日の特徴は、
①うがいと洗顔
帰宅したら、洋服についた花粉を払います。粘着テープなどでコロコロと取り除くのがよいと思います。
また、体に付着した花粉を取り除くために、手洗い、うがい、更に洗顔をして、花粉を落とすと良いでしょう。ただし、やさしく洗ってください。ゴシゴシ洗ってしまうと、目や鼻に花粉が侵入して、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。髪の毛も、毎日洗って花粉を落としましょう。
②室内の換気に注意しましょう
窓を全開にして換気すると、大量の花粉が入ってきます。窓は10cm程度開け、レースのカーテンを使うことで、花粉量を減らせます。空気清浄機も有効です。カーテンや床も、こまめにお掃除してください。
③衣類は室内干しにしましょう
花粉が飛び散る季節に、屋外に衣類を干すと、大量の花粉が付着した衣類を着ることになります。この季節だけでも、室内干しをオススメします。以上です。少しでも皆さまの生活のご参考になればと思います。
また、セルフケアではどうしても症状が緩和されない場合は、お近くの医療機関を受診されてください。
こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
2月の途中は、諸事情で休診しており、皆さまにはご迷惑をおかけしましたが、いまは平常どおり診療を再開しております。
休診中は、娘の手術入院に付き添っていたのですが、コロナ禍である上に感染者数もピーク時であったため、手術入院には困難なことも多く、親として、医師として、深く考えさせられました。ただ、最も大変な目にあったであろう我が子が日に日に回復しているのを見て、子どもの治癒力や可能性に感心もしました。コロナが、その状況を受け入れることしか出来ない立場の幼い子どもたちの心身の成長に陰を落とすことのないよう、これからも変化する毎日を見つめていきたいな、と改めて思いを強くしております。
そうこうして無事に診察を再開することができたわけですが、先日、今回はお留守番役であった息子と一緒に柏から特急ひたちに乗り、東京駅に行った日のことです。隣のホームに「EASTi-E」が停車していることに気付き、それだけでも心が弾んだのですが、親切なお兄さんが「今からドクターイエローがくるよ!」と声をかけてくれて、あわてて新幹線のホームに向かい、ドクターイエローの入線をみることができました!!!初めて見る黄色い車体は、すこし息が上がっていた2月の私にパワーをくれたようです。その鮮やかな黄色い車体に、菜の花畑を重ねて、もう春がやってくるんだなぁとしみじみ思いながら、写真を撮っておりました。
こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。
当院は1月6日木曜日から通常診療を始めておりました。仕事初めに初雪となり、めでたいような、子ども達が喜ぶのが嬉しいような気分でしたが、路面が凍結してしまいますので、診療の合間に交代しながら、スタッフの皆さんにも手伝ってもらって、スコップで氷を割りながら雪かきを行いました。雪道を学生さんが楽しそうに歩いている傍らで、私は、雪かきをしながら何度も滑りそうになりました。
ヤマクリニックの前の道は日が当たらないところもあり、まだ少し路面が凍っています。そして、少し坂道になっていますので、滑りやすいです。明日以降もご来院の際は、足元には充分お気をつけください。
明けましておめでとうございます。柏市明原、ヤマ・クリニック皮膚科医の甲斐やよいです。寒い日が続いております。新しい年を迎え、皆さまはいかがおすごしでしょうか。当院は、1月6日(木)より通常診療を開始いたします。1月6日〜8日と、11日は、待合室が混み合う可能性がありますので、お時間に余裕を持ってお越し下さい。診察にあたって、発熱外来(熱や風邪症状がある方の診察)と健康診断は、事前予約が必要ですが、一般内科・皮膚科・呼吸器内科は、事前予約なしで受診していただけます。皮膚科に関しましては、お肌のトラブルでしたらなんでもご相談ください。皮膚は心身の異常のサインであることも多いと思います。コロナ禍で人と人との距離が離れがちですが、対話を大切にしつつ、皆さまのご健康の一助となりますよう日々精進してまいりたいと思います。本年も、ヤマ・クリニックをどうぞ宜しくお願いします。