お彼岸の思い出

こんにちは。柏市明原、ヤマ・クリニック 皮膚科医の甲斐やよいです。

緊急事態宣言が明けて、気持ちの良い秋晴れが続くと、どこかへ遊びに行きたくなりますね。

私はお彼岸に祖父母のお墓参りに行きました。

このお彼岸のお墓参りは、子どもの頃の私にとって、親戚が集まる楽しいイベントのような感覚でした。朝早くから電車を乗り継ぎ、土手の近くの曽祖母の家に着くと、もうみんな集まっていて、玄関を上がった正面の座敷には食卓いっぱいに山盛りのお料理が並んでいました。その奥では、さらに御馳走を作ろうと親戚の女性たちがせっせと働いているのです。中庭のお釜ではお赤飯が炊かれようとしていました。

土手の向こう側にあるお墓へのお参りが終われば、あとは子ども達は遊ぶだけでした。土手の牛を追いかけて、反対に牛に追いかけられると必死で逃げる危ない遊びをしたり、広い畳の部屋で何十枚もある座布団を重ねて崩して遊んだり、曽祖母からお小遣いをもらうと、近所の駄菓子屋さんでお菓子を沢山買って、一つだけある洋室で子ども会議だといって鍵を閉め、立て篭もって好きなだけお菓子を食べたり。楽しい時間はあっという間に過ぎて帰る時間になります。

あるとき「帰りたくない!泊まっていく!」と強情をはったことがありました。とうとう本当に家に残って、みんなが駅へ向かって誰もいなくなってみると、人気のなくなった曽祖母の家がいやに大きく感じました。急に寂しくなって「やっぱり私も帰る〜」と大泣きしてしまうと、曽祖母が泣きに泣いている私をおんぶして、慌てて駅まで走って、ホーム脇から大きな声で「やっぱり帰るってー!」と呼びかけ、ホームで電車を待つみんなを驚かせていました。曽祖母の作ってくれた大好物のお赤飯と鉄砲漬けをお土産に、また遊びに来てねと言われ、一体いつが最後だったのか。今となっては自動改札がついて綺麗な待合室ができた駅を眺めながら、走って買いに行った駄菓子屋さんはどこだったのか、カゴ型ブランコで遊んだ神社の公園はどこだったのか、ぼんやり見渡しながら、変わりゆく景色の中で、記憶だけが鮮明に蘇るのでした。

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